BAR物件の選び方|失敗しないチェックポイント

物件選びは、BAR開業で最も取り返しのつかない決断のひとつです。
コンセプトや価格設定はあとから変えられる。
でも物件だけは、一度契約したら簡単には変えられない。

それにもかかわらず、
「なんか雰囲気がいい」「ここでやってみたい」
という感覚だけで物件を決めてしまう人が後を絶ちません。
この記事では、物件選びで見るべきポイントを、現場目線で順番に解説します。

物件選びの大原則:数字で判断する

物件選びで最初に決めるべきことは、「感覚」ではなく「数字」です。物件を見に行く前に、次の3つの数字を必ず決めておいてください。

物件探し前に決める3つの数字

  • 家賃の上限(月売上目標の10〜15%以内が鉄則)
  • 希望坪数(一人経営なら8〜15坪が現実的)
  • 開業エリアの絞り込み(最大3エリアまで)

たとえば、月の売上目標を80万円に設定するなら、家賃の上限は8〜12万円です。この上限を超える物件は、どれだけ「いい物件」に見えても、最初から候補から外してください。物件に引っ張られて家賃上限を上げる判断は、ほぼ確実に後悔します。

「家賃は売上が上がれば払える」は危険な考え方

開業直後から想定売上が出ることはほとんどありません。売上が安定するまでの3〜6ヶ月、高い家賃を払い続ける体力があるかを冷静に判断してください。感情で家賃上限を動かさないことが、物件選びの鉄則です。

絶対に確認すべき7つのチェックポイント

チェック 01

用途地域・深夜営業の可否
BARは多くの場合、深夜0時以降も営業します。
しかし、物件が「住居系用途地域」に指定されているエリアでは、
深夜酒類提供飲食店の営業ができません。
どれだけ内装をこだわっても、法律上営業できなければ意味がありません。

確認方法
市区町村のホームページで「用途地域マップ」を確認できます。
また、管轄警察署の生活安全課に相談すると、その場所で深夜営業が可能かどうかを教えてもらえます。物件を本格検討する前に必ず確認してください。

やりがちな失敗
内装工事まで進んでから「この場所では深夜営業の届出ができない」と判明するケースが実際にあります。
契約前に必ず確認してください。
チェック 02

排水・換気・電気容量
飲食店として使うためには、一般のオフィスや居住用物件とは異なる設備が必要です。
特に「排水」「換気」「電気容量」の3つは、後から変更するとコストが膨らむため、
必ず内見時に確認してください。

具体的に確認すること
・グリストラップ(油水分離装置)の有無。
・換気ダクトの設置可否と排気場所。
・電気の契約容量(飲食店は最低30A以上、製氷機・冷蔵庫が多い場合は60A以上必要なことも)。
これらが整っていない物件は、工事費が大幅に増えます。
チェック 03

立地とターゲット客の動線
「駅から近い=いい立地」は正しくありません。
BARにとっての良い立地は、「ターゲット客が自然と流れてくる場所」です。
オフィス街のビジネスパーソン向けなら、退勤動線上にあること。
落ち着いた大人の客層を狙うなら、繁華街の喧騒から少し外れた路地裏の方が合うこともあります。

現場で使っている確認方法
候補物件の近くで、
・平日の夜19時〜22時と
・週末の夜21時〜24時に実際に立ってみてください。
どんな人が歩いているか、どんな店が賑わっているかを目で見て確認するのが一番確実です。

立地は「駅からの距離」より「ターゲット客の動線」で判断する。

チェック 04

近隣環境と騒音・クレームリスク
BARは夜間営業です。
近くにマンションや住宅が密集しているエリアでは、
音楽・話し声・客の出入りに対してクレームが来るリスクがあります。
開業後に近隣トラブルで営業に支障が出るのは、最悪の展開です。

確認のポイント
物件の上下・隣の用途を確認する。
周辺に同業の飲食店がどれだけあるか(飲食店が多いエリアは住民側もある程度慣れている)。物件の防音性能。以前のテナントが何をしていたかも参考になります。
チェック 05

保証金・礼金・原状回復の条件
物件取得にかかるコストは「家賃×何ヶ月分」の保証金だけではありません。
退去時の原状回復費用の負担範囲が契約書に書かれており、
これが後から大きな出費になることがあります。

特に注意すること
飲食店の場合、退去時に「スケルトン戻し(全て撤去して元の状態に戻す)」を求められることがあります。
内装工事費と同じくらいの費用がかかるため、契約前に原状回復の範囲を必ず確認し、
できれば書面で明確にしておいてください。
チェック 06

坪数とレイアウトの実用性
「10坪」と書いてあっても、
柱の位置・形状・トイレの場所によって、実際に使える空間は全く変わります。
数字の坪数より、「実際に何席作れるか」「動線が成り立つか」を内見時に確認してください。

席数の目安(BAR・カウンター中心の場合)
カウンター1席あたり約60cm幅が必要。
10坪(約33㎡)の物件でカウンター8席+テーブル4席くらいが現実的な上限です。
詰め込みすぎると客が窮屈に感じてリピートしません。
チェック 07

オーナー・管理会社の対応と信頼性
物件のオーナーや管理会社との関係は、開業後も長く続きます。
設備の故障・近隣トラブル・契約更新など、
何かあったときに誠実に対応してくれるかどうかは、内見の段階での対応から見えることがあります。

内見時に見るポイント
・質問への回答が明確かどうか。
・以前のテナントがなぜ退去したかを正直に教えてくれるか。
・修繕履歴の開示に応じるか。
「なんか対応が雑だな」という違和感は、入居後に拡大することが多いです。

居抜き vs スケルトン:どちらを選ぶべきか

物件探しで必ず直面するのが「居抜き物件」と「スケルトン物件」の選択です。それぞれの特徴を正確に理解した上で判断してください。

居抜き物件

  • 内装・設備が残っているため初期費用を大幅に圧縮できる
  • 工期が短く、早期オープンが可能
  • 飲食店としての設備(シンク・換気等)が整っていることが多い
  • 前テナントのイメージが残り、コンセプトを出しにくい場合がある
  • 設備の老朽化・不具合があっても引き継ぐことになる
  • レイアウトの自由度が低い

スケルトン物件

  • 内装・レイアウトを完全に自分好みで作れる
  • 前テナントのイメージを引きずらない
  • 設備を最新・最適なものにできる
  • 内装工事費が大幅に高くなる(坪30〜80万円)
  • 工期が長くなり、オープンまでの期間が延びる
  • 排水・換気・電気の工事もゼロから必要
現場からの結論

初めての開業であれば、まず居抜き物件を優先して探すことを強くすすめます。初期費用を抑えることで、開業後の運転資金に余裕が生まれます。「どうしても自分のコンセプト通りの内装にしたい」という場合は、居抜き物件をベースにしながら必要な部分だけ手を加える「部分リノベ」という選択肢もあります。スケルトンからのフルスクラッチは、2店舗目以降で資金に余裕ができてからでも遅くありません。

物件を探す正しい方法

物件探しをどこでするかによって、出会える物件の質と量が大きく変わります。

1 飲食店専門の不動産会社に当たる

一般の不動産会社より居抜き物件の情報を多く持っていることが多い。「飲食店 物件 ○○(エリア名)」で検索すると専門業者が見つかる。複数社に当たって情報を集める。
2 居抜き物件専門サイトを使う

「居抜き物件.com」「テンポスバスターズ」「INABA」など、飲食店居抜き物件を専門に扱うポータルサイトがある。エリア・坪数・家賃で絞り込める。
3 候補エリアを自分の足で歩く

「テナント募集」の貼り紙がある物件は、不動産会社の情報より早く見つかることがある。閉店した飲食店の前を通ったら、貼り紙の連絡先に直接問い合わせるのも有効。
4 知り合いのオーナー・業者からの紹介

表に出る前の物件情報は、人脈から流れてくることが多い。BAR仲間・経営者コミュニティに入っておくと、良質な情報が入ってくることがある。

いい物件ほど早く埋まる。情報収集は複数ルートで同時に動く。

内見で必ず確認すること

内見は「雰囲気を見に行く場」ではなく「条件を確認しに行く場」です。次のチェックリストを持参して、全て確認してから判断してください。

設備・構造の確認

  • シンク・排水の位置と状態
  • グリストラップの有無・状態
  • 換気ダクトの位置・排気方向
  • 電気の契約容量(アンペア数)
  • トイレの位置・数・状態
  • エアコンの有無・状態・容量

法的・契約条件の確認

  • 用途地域・深夜営業の可否
  • 原状回復の範囲(スケルトン戻しか否か)
  • 看板・サイン設置の可否
  • 前テナントの退去理由
  • 近隣からのクレーム履歴

立地・環境の確認

  • 夜間(実際の営業時間帯)の人通り
  • 周辺の飲食店・競合店の状況
  • 近隣住宅・マンションの密度
  • 駐車場・駐輪場の有無(客の来やすさ)
内見は必ず「昼」と「夜」の両方で行く

昼間に見ると雰囲気がよくても、夜になると人通りが極端に少なくなるエリアがあります。逆に昼間は静かでも、夜は飲食店で賑わうエリアもある。必ず営業時間帯と同じ時間帯に現地を訪れて確認してください。

契約前の最終確認リスト

「気に入った物件が見つかった」「早く押さえたい」という気持ちはわかります。でも、契約は取り消せません。サインする前に、必ずこれだけは確認してください。

契約書サイン前の最終確認

  • 家賃が月売上目標の15%以内に収まっているか
  • 深夜酒類提供営業の届出が可能なエリアか(警察署確認済みか)
  • 保健所に事前相談して飲食店営業許可が取れる構造か確認済みか
  • 原状回復の範囲が書面で明確になっているか
  • 設備の不具合・修繕の責任範囲が契約書に明記されているか
  • 内装業者に物件を見せて「工事できる構造か」を確認済みか
「早く決めないと取られる」というプレッシャーに負けない

不動産会社や家主から「他にも見ている人がいる」と言われることがあります。いい物件には競争があるのは事実ですが、確認すべきことを確認せずに急いで契約した物件で後悔するケースも多い。上記の確認が終わっていないなら、「確認が終わったら即決します」と伝えて時間をもらってください。それで断られるような物件なら、縁がなかったと割り切るくらいでいいです。

契約書にサインする前が、唯一「止まれる」タイミング。確認を怠らない。

この記事のまとめ

  1. 物件探し前に「家賃上限・坪数・エリア」の3つを数字で決める。感覚で動かない。
  2. 用途地域・深夜営業の可否は、契約前に必ず警察署で確認する。
  3. 排水・換気・電気容量は内見時に確認。整っていない物件は工事費が跳ね上がる。
  4. 立地は「駅からの距離」より「ターゲット客の動線」で判断。夜の時間帯に実際に確認する。
  5. 初めての開業は居抜き物件を優先。初期費用を抑えて運転資金に余裕を作る。
  6. 原状回復の範囲は契約前に書面で明確にする。退去時の想定外コストを防ぐ。
  7. 「急かされても焦らない」。確認が終わっていない状態でサインしない。

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