BARの人件費率の目安|高すぎると危険な経営指標を解説

「スタッフを増やしたら、急に利益が出なくなった」

人件費は、売上に対する感度が高い経費のひとつです。

適正水準を知らずに人を増やすと、
気づかないうちに利益を圧迫してしまいます。

この記事では、BAR経営における人件費率の目安と、
最適化の考え方を解説します。

人件費率とは何か

人件費率とは、月間売上に対して人件費(給与・社会保険料等)が占める割合のことです。

人件費率(%) = 月間人件費 ÷ 月間売上 × 100

たとえば人件費90万円、月商300万円のBARであれば、人件費率は30%になります。

BARにおける人件費率の目安

人件費率評価
20%以下優良。オーナー中心の少人数運営で実現しやすい水準
25〜30%適正。一般的に目指すべき水準
31〜35%要注意。他の経費とのバランスに注意が必要
36%以上危険水域。利益を大きく圧迫している可能性
飲食業界全体ではFLコスト(原材料費+人件費)60%前後が目安

家賃比率と同様、人件費だけを単体で見るのではなく、
原材料費・家賃を含めた全体のバランスで判断することが重要です。

ワンオペ・少人数経営との関係

BARは他の飲食業態と比べて、ワンオペ(オーナー1人での営業)や少人数体制で成立しやすい業態です。

オーナー自身の稼働は「人件費ゼロ」ではない

オーナーが自分の給料を取らずに働いている場合、
帳簿上の人件費率は低く見えますが、
実際には「見えない人件費」が発生しています。
オーナーの適正な労働対価も含めて収支を考えることが大切です。

✅ 少人数経営のメリット・デメリット

項目内容
メリット人件費率を大幅に抑えられる、意思統一がしやすい
デメリットオーナーの体力的負担が大きい、急な休業リスクが高い、サービスの幅が限定される

人件費に含めるべき項目

  • 従業員の基本給・時給分の給与
  • 深夜割増賃金(22時以降の労働に対する割増分)
  • 社会保険料の会社負担分(法人の場合)
  • 交通費・まかない費などの諸手当
  • オーナー自身の労働対価(経営分析上は含めて考えるのが望ましい)
深夜営業のBARは「深夜割増」を見落としやすい

労働基準法により、22時から翌5時までの労働には
25%以上の割増賃金の支払いが義務付けられています。
シフトを組む際、この割増分を人件費に正しく織り込む必要があります。

人件費率が高すぎるときの対処法

対処法内容
シフトの最適化曜日・時間帯別の客数データに基づき、必要人数を見直す
多能工化少人数でも複数業務をこなせるよう教育し、人員配置を柔軟にする
業務の仕組み化マニュアル化・ルーティン化で教育コストを下げる
客単価の引き上げ人件費率は売上を伸ばすことでも相対的に下げられる(BARの客単価を上げる方法も参照)
「人を減らす」より先に「配置を最適化する」

繁忙時間帯に人手不足でサービスの質が落ちれば、
リピート率の低下という形で長期的な損失につながります。
削減より先に、最適な配置ができているかを見直してください。

人件費率を最適化する考え方

人件費率だけを見て一喜一憂しない

人件費率が多少高くても、それによって接客の質が上がり、
客単価やリピート率が向上しているなら、投資として合理的な場合もあります。
「率」ではなく「率×売上の伸び」で総合的に判断することが大切です。

✅ 判断のポイント

  • 人件費を増やした結果、客単価・リピート率が向上しているか
  • 繁忙期・閑散期でシフトを柔軟に調整できているか
  • オーナー自身の稼働時間が、持続可能な範囲に収まっているか

この記事のまとめ

  1. 人件費率=月間人件費÷月間売上×100。BARは25〜30%程度が一般的な目安。
  2. BARはワンオペ・少人数経営が成立しやすく、人件費率を抑えやすい業態。
  3. オーナー自身の労働対価も「見えない人件費」として意識することが重要。
  4. 深夜割増賃金や社会保険料など、見落としやすい項目も人件費に正しく含める。
  5. 人件費率が高い場合は、削減より先にシフトの最適化・多能工化を検討する。
  6. 人件費率は単体で見ず、客単価やリピート率との関係を含めて総合的に判断する。

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