
「事業計画書は融資を受けるためだけの書類」
そう思っている人は、開業後に苦労しやすい傾向があります。
事業計画書は融資審査の書類であると同時に、
自分の事業を客観視し、判断の軸を持つための道具でもあります。
この記事では、BARの事業計画書に必要な構成要素と作り方を解説します。
事業計画書は「誰のため」に作るのか
事業計画書には2つの役割がある
1つは融資審査など「他者に説明する」ための資料。
もう1つは、自分自身が事業の全体像を整理し、
判断基準を持つための「経営の地図」としての役割です。
融資を受けない場合でも、事業計画書を作る過程で立地・メニュー・資金計画の甘さに気づけることが多く、開業判断そのものの精度を上げる効果があります。
事業計画書の基本構成
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| コンセプト | どんな店を、誰のために、なぜ作るのか |
| 市場・競合分析 | 立地特性、競合店の状況、需要の根拠 |
| 商品・メニュー戦略 | ドリンク・フードの構成、価格設定の考え方 |
| 収支計画 | 売上予測、経費構成、利益計画 |
| 資金計画 | 開業費用の内訳、自己資金と融資の内訳 |
| スケジュール | 契約・工事・開業までのタイムライン |
| リスク対策 | 売上不振時、緊急時の対応方針 |
コンセプト・ターゲットの明確化
「誰に」「何を」「なぜ」が一貫しているかを確認する
コンセプトが曖昧だと、メニュー・価格・内装・集客施策すべてが
ちぐはぐになります。ターゲット像を具体的に描くことが出発点です。
✅ 明確にしておきたい項目
- どんな客層(年齢層・利用シーン)を主なターゲットにするか
- 競合と比べて、どんな価値を提供する店なのか
- 価格帯・雰囲気・提供スタイルが、ターゲットに合っているか
立地・競合分析
- 商圏内の人口動態、昼夜間人口、周辺の飲食店の傾向を調べる
- 競合店の価格帯・客層・強みを把握し、自店の差別化ポイントを明確にする
- 物件の視認性・動線(駅からの距離、人通りの時間帯など)を評価する
- 「BAR開業前に市場調査する方法」の記事も参考に、具体的な調査手順を押さえる
収支計画の作り方
収支計画は「希望」ではなく「根拠」で作る
「月商300万円を目指す」ではなく、
「客単価4,000円×日商25人×営業25日=250万円」というように、
積み上げ式で数字を作ることが重要です。
✅ 収支計画に盛り込むべき要素
- 客単価・客数・稼働率から積み上げた売上予測
- 原材料費率・人件費率・家賃比率などの経費構成(業界平均との比較)
- 損益分岐点(何杯・何人で黒字化するか)の算出
- 開業初期の売上が計画未達だった場合のシナリオも用意しておく
資金計画とスケジュール
- 開業総費用の内訳(物件取得費・内装費・設備費・運転資金など)を明確にする
- 自己資金と融資希望額の内訳、返済計画を整理する(「BAR開業の自己資金はいくら必要?」も参照)
- 物件契約から開業までのスケジュールを逆算し、各工程の期限を明記する
リスク対策の書き方
- 売上が計画未達だった場合の対応策(固定費の見直し、営業時間の調整など)
- スタッフの急な離職・体調不良時のバックアップ体制
- 近隣トラブル・災害時など、不測の事態への対応方針
- 資金繰りが厳しくなった場合の相談先(金融機関、認定支援機関など)
リスク対策の記載は「不安を煽る」ためではなく「信頼を得る」ため
想定されるリスクとその対処法まで考えている計画書は、
金融機関からの信頼度も高くなります。楽観的な計画だけでなく、
悪いシナリオへの備えも示すことが説得力につながります。
よくある失敗
❌ 事業計画書でよくある落とし穴
- 売上予測の根拠が「希望的観測」で、積み上げの計算になっていない
- 競合分析が浅く、差別化ポイントが具体性に欠ける
- 資金計画に運転資金(開業後数カ月分の余裕資金)が含まれていない
- リスク対策が書かれておらず、計画が楽観的すぎる印象を与える
この記事のまとめ
- 事業計画書は融資審査のためだけでなく、自分自身の経営判断の軸としても機能する。
- コンセプト・市場分析・収支計画・資金計画・スケジュール・リスク対策が基本構成。
- コンセプトとターゲットの一貫性が、メニューや価格設定の説得力を左右する。
- 収支計画は「客単価×客数×稼働率」の積み上げ式で、根拠のある数字にする。
- 資金計画には開業費用だけでなく、運転資金も含めて計画する。
- リスク対策まで記載することで、計画全体の信頼性と説得力が高まる。
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