
「親から借りたお金だから、口約束で十分」
これが後々、家族関係と融資審査の両方でトラブルの種になります。
親族からの借入は、資金調達の有効な選択肢である一方、
正しく処理しないと贈与税の対象になったり、
金融機関からの信用を損なったりするリスクがあります。
この記事では、親族借入の注意点を整理します。
親族借入が持つメリットとリスク
親族借入は「低金利・柔軟な返済」という魅力がある一方、税務・信用面のリスクも伴う
金融機関からの借入と違い、金利や返済条件を
柔軟に設定できる点は大きなメリットです。
しかし、書面化を怠ると贈与とみなされたり、
金融機関からの心証を損ねたりするリスクがあります。
借入か贈与かを明確にする
⚠️ 税務上、最も注意すべきポイント
- 返済の実態がない、または返済計画が不自然な場合、贈与とみなされ贈与税の対象になることがある
- 年間110万円を超える贈与には、原則として贈与税が課される
- 「借りた」という認識を、書面と返済実績の両方で証明できるようにしておく必要がある
「家族間だから大丈夫」という認識が、最も危険
税務署は形式(契約書の有無)だけでなく、
実態(実際に返済されているか)を重視して判断します。
借入として扱いたいなら、貸し借りの実態を作ることが不可欠です。
金銭消費貸借契約書の作成
✅ 契約書に盛り込むべき項目
- 借入金額
- 返済方法(分割か一括か)、返済期日
- 金利(無利子の場合はその旨を明記、ただし極端な無利子・低利子は贈与とみなされるリスクもある)
- 借主・貸主双方の署名・押印
契約書は「形式を整える」だけでなく「実際に守る」ことが重要
契約書を作成しても、実際の返済が滞っていたり、
返済額が契約と異なっていたりすると、
書面の信頼性そのものが疑われることになります。
返済実績を残すことの重要性
- 現金の手渡しではなく、銀行振込で返済履歴を残す
- 毎月決まった日に、決まった金額を返済する習慣をつける
- 通帳・振込明細など、返済の証拠となる資料を保管しておく
- 「BAR開業の自己資金はいくら必要?」でも触れた通り、自己資金の形成過程は融資審査でも確認される対象になり得る
親族借入も「見せ金」と誤解されるリスクがある
開業直前にまとまった額が振り込まれ、
その使途や返済計画が不明確だと、
公庫の融資審査で自己資金として認められにくくなることがあります。
公庫融資審査への影響
⚠️ 日本政策金融公庫への申込み時に注意すべきこと
- 親族借入がある場合、それを自己資金として計上できるかどうかは、借入の性質次第で判断が分かれる
- 返済義務のある親族借入は、自己資金ではなく「他人資本」として扱われる可能性がある
- 面談時に、親族借入の経緯・返済計画について説明を求められることがある
- 不明な点は、申込み前に日本政策金融公庫の窓口や税理士に確認することが望ましい
「自己資金として計上できると思っていたのに、審査で否認された」を防ぐ
親族借入をどう扱うかは、事前に金融機関側の見解を
確認しておくことが重要です。思い込みで進めると、
資金計画全体が崩れるリスクがあります。
家族関係を守るための配慮
- 返済が遅れた場合の対応(猶予、金利の見直しなど)も事前に話し合っておく
- 事業がうまくいかなかった場合のリスクを、貸主となる親族にも正直に共有する
- 感謝の気持ちを、返済とは別に日頃から言葉で伝える
- 契約書があっても、家族としてのコミュニケーションを疎かにしない
お金の貸し借りは、契約書があっても関係性に影響を与える
ビジネスとしての合理性(契約書、返済実績)と、
家族としての信頼関係は、両方大切にする必要があります。
どちらかだけに偏ると、後々の禍根につながりかねません。
この記事のまとめ
- 親族借入は柔軟な条件が魅力な一方、書面化を怠ると贈与税の対象になるリスクがある。
- 金銭消費貸借契約書を作成し、金額・返済方法・金利を明確にしておく。
- 銀行振込での返済履歴など、実際の返済実績を残すことが「借入」の証明になる。
- 親族借入は日本政策金融公庫の融資審査で自己資金と認められない場合があるため、事前確認が必要。
- 開業直前の見せ金と誤解されないよう、計画的な借入・返済の経緯を作っておく。
- 契約書だけでなく、家族としての誠実なコミュニケーションも並行して大切にする。
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