
「1000万円あれば、理想の店が作れる」
たしかに選択肢は大きく広がります。ただし同時に、
回収すべき投資額も跳ね上がります。
この記事では、1000万円という予算でできることと、
その予算規模だからこそ生まれるリスクを整理します。
1000万円という予算の位置づけ
小規模BARの相場(300〜800万円)を超える、上位レンジの予算
スケルトン物件からのフルオーダー内装、
好立地の物件取得、開業当初からのスタッフ雇用など、
これまでの記事で「予算的に難しい」としてきた選択肢の多くが現実的になります。
費用内訳のシミュレーション
| 費用項目 | 1000万円での配分例 |
|---|---|
| 物件取得費(保証金・敷金・礼金等) | 200〜300万円 |
| 内装工事費 | 350〜500万円 |
| 厨房設備・什器備品 | 100〜150万円 |
| 開業前家賃(工事期間分) | 40〜80万円 |
| 広告・販促費 | 30〜50万円 |
| 運転資金 | 150〜250万円 |
「BAR内装工事の費用相場」で触れたスケルトン坪単価30〜60万円を前提にすると、
10〜15坪の物件でも内装費が賄える計算になります。
1000万円で実現できる店舗像
✅ 現実的に狙える条件
- 坪数:12〜20坪程度
- 席数:カウンター10〜14席+テーブル席・ソファ席の併設
- 物件タイプ:スケルトン物件からのフルオーダー設計が可能
- 運営体制:オーナー+スタッフ1〜2名の複数人体制
- 立地:視認性の高い路面店、駅近物件も候補に入る
- 設備:ワインセラー、本格的な音響設備、こだわりの照明計画など
「世界観を完全に作り込む」ことができる予算帯
「BARの店舗デザイン成功事例」で紹介したような
明確なデザインの型を、妥協なく実現できる水準です。
コンセプトの表現力で差別化を狙う店には適した予算と言えます。
500万円との違い
| 項目 | 500万円 | 1000万円 |
|---|---|---|
| 物件 | 居抜き中心 | スケルトンからのフルオーダーも可能 |
| 席数 | 8〜12席 | 10〜20席(テーブル席併設も) |
| 人員 | ワンオペ中心 | 開業時からの複数人体制 |
| 設備 | 中古・リース活用が前提 | 新品での揃え方も選択可能 |
| 必要月商の目安 | 相対的に低い | 高くなる(固定費が増えるため) |
自由度が上がるほど、必要な売上も上がる
坪数が増えれば家賃が上がり、人を雇えば人件費が発生します。
1000万円規模の店は、それに見合った売上を
継続的に作り続ける必要があるという前提を忘れてはいけません。
投資回収の視点を持つ
1000万円の投資を、何年で回収する計画か
仮に月の営業利益が50万円なら、単純計算で回収に20カ月。
月30万円なら33カ月かかります。
この回収期間が現実的かどうかを、開業前に必ず試算してください。
(「BARの損益分岐点の計算方法」「BARの事業計画書の作り方」も参照)
✅ 試算すべき項目
- 内装・設備の減価償却費が、毎月の損益にどう影響するか
- 融資を使う場合、月々の返済額が利益水準に対して妥当か
- 家賃比率が10%前後に収まる月商を達成できる見込みがあるか(「BARの家賃比率の考え方」参照)
- 人件費率が25〜30%の範囲に収まる人員計画か(「BARの人件費率の目安」参照)
1000万円規模で起きやすい失敗
❌ 予算があるからこそ陥る罠
- 内装のグレードを上げすぎて、固定費(減価償却・家賃)が売上に見合わなくなる
- 席数を増やしたものの、集客が追いつかず空席が常態化する
- 開業時から人を雇いすぎて、人件費率が想定を超える
- 借入額が大きく、開業初期の返済負担が資金繰りを圧迫する
- 「お金をかけた店」であることが、必ずしも集客力に直結しない
予算の大きさは、成功を保証しない
内装が立派でも、コンセプト・立地・集客導線が
噛み合っていなければ売上にはつながりません。
「BAR経営で赤字になる原因」で挙げた固定費過多は、
むしろ大きな予算をかけた店ほど起きやすい問題です。
この記事のまとめ
- 1000万円は小規模BARの相場を超える上位レンジで、選択肢が大きく広がる予算。
- スケルトンからのフルオーダー内装、12〜20坪、複数人体制が現実的に狙える。
- 自由度が上がる一方、家賃・人件費・減価償却など固定費も比例して増える。
- 投資回収期間を開業前に試算し、現実的な計画かを検証することが必須。
- 予算があるほど内装のグレードを上げすぎ、固定費過多に陥るリスクが高まる。
- 予算の大きさは成功を保証せず、コンセプト・立地・集客導線との整合性が本質。
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