BAR開業で最初に揃えるべきお酒一覧|初心者向け完全ガイド

「開業前に何のお酒を揃えればいいか」
「全部揃えようとしたら予算オーバーになった」
仕入れ準備でつまずく人は多い。
種類は多いほど良さそうに見えて、
実際は「使わないボトルが棚を占領する」という失敗が非常によくある。

この記事では、BAR開業時に本当に必要なお酒を「ベーススピリッツ中心に」リスト化します。最初に揃えるべきもの・後から足せばいいもの・買わなくていいものを、現場目線でハッキリ分けて解説します。

仕入れの基本的な考え方

最初に言います。開業時に全種類のお酒を揃える必要はまったくありません。大事なのは「少ない種類で多くのメニューをカバーできるラインナップ」を組むことです。

🎯

絞り込む

最初は20〜30本から始める。
全部揃えようとすると
資金が消えて運転資金が枯れる。
🔄

回転を見る

売れるボトル・売れないボトルは
開業してみないとわからない。
最初は様子見で少量から。
📈

客の反応で増やす

「あのお酒ある?」
と聞かれたものを足していく。
客の声が最良の仕入れ指針になる。
💡

1本の多用途化

1つのボトルで
複数のカクテルを作れる選択をする。
汎用性の高いボトルを優先。
「品揃えが豊富=いいBAR」ではない

開業前に50本以上揃えたのに、実際に動いたのは10本だけだった。これは現場でよく起きることです。眠ったボトルは利益を生まないどころか、棚のスペースを無駄にします。最初は「少なくても深い」ラインナップから始めてください。

絶対に揃えるべきベーススピリッツ6種

カクテルの「ベース」となるスピリッツ6種類を最初に揃えます。この6種があれば、代表的なカクテルのほぼ全てをカバーできます。

🥃ウイスキー

BARの主役。最も力を入れるべきカテゴリ

絶対必要

銘柄・タイプ優先度目安価格解説・選び方のポイント
バランタイン 12年
スコッチ・ブレンデッド
絶対必要2,500〜3,500円スコッチの定番中の定番。ストレート・ロック・水割り・ハイボール全てに対応。どんな客にも提供できる万能ボトル。
ジャックダニエル
テネシーウイスキー
絶対必要2,500〜3,500円世界で最も売れているウイスキーのひとつ。ハイボール・コーラ割りの定番。知名度が高く「ジャックダニエルある?」という客が必ずいる。
山崎 (ノンエイジ)
ジャパニーズウイスキー
絶対必要4,000〜6,000円日本のBARなら最低1本は置きたいジャパニーズウイスキー。外国人客・ウイスキー好きへの訴求力が高い。在庫確保が難しい場合は白州・知多でも可。
グレンリベット 12年
スコッチ・シングルモルト
あると便利3,500〜5,000円シングルモルト入門として定番。「モルトを飲んでみたい」という客への第一提案として使いやすい。
バーボン(ワイルドターキー等)
アメリカン・バーボン
あると便利2,000〜3,500円マンハッタン・オールドファッションドのベースに使う。バーボン好きの客への対応に。最初は1本だけ揃えれば十分。

🌿ジン

カクテルの汎用性NO.1のベーススピリッツ

絶対必要

銘柄・タイプ優先度目安価格解説・選び方のポイント
タンカレー
ロンドンドライジン
絶対必要2,500〜3,500円ジントニック・マティーニ・ギムレット・ネグローニなど、あらゆるジンカクテルに対応。バーテンダーからの支持が最も高いジンのひとつ。
ビーフィーター
ロンドンドライジン
あると便利2,000〜3,000円タンカレーと並ぶ定番ジン。価格が手頃でコスパ高。2本目のジンとして揃えるならビーフィーター。
クラフトジン(地場・国産)
ボタニカルジン
業態次第3,000〜8,000円クラフトジンブームで客からのリクエストも増えている。コンセプトBAR・差別化を狙うなら1本入れると話題になる。

🧊ウォッカ

無色透明・癖なし。カクテルの縁の下の力持ち

絶対必要

銘柄・タイプ優先度目安価格解説・選び方のポイント
スミノフ(レッド)
スタンダードウォッカ
絶対必要1,500〜2,000円世界で最も売れているウォッカ。モスコミュール・ブラッディメアリー・スクリュードライバーなど幅広いカクテルのベースに。コスパ最強。
アブソルート
スウェーデン産
あると便利2,000〜2,800円スミノフより少し上質感がある。ウォッカをストレートで飲む客に向けて1本あると対応の幅が広がる。

🌴ラム

ダイキリ・モヒートに欠かせないトロピカルな主役

絶対必要

銘柄・タイプ優先度目安価格解説・選び方のポイント
バカルディ スペリオール
ホワイトラム
絶対必要1,500〜2,200円モヒート・ダイキリ・キューバリブレのベース。クセがなく使いやすい。ラムはまずホワイトから1本揃える。
マイヤーズ ダーク
ダークラム
あると便利2,000〜3,000円ダークラム特有の濃厚な風味がある。ラムコーク・マイタイなどダーク系カクテルに。2本目のラムとして揃える。

🌵テキーラ

マルガリータに必須。若い客層への訴求力が高い

絶対必要

銘柄・タイプ優先度目安価格解説・選び方のポイント
クエルボ エスペシャル
ゴールドテキーラ
絶対必要2,000〜2,800円マルガリータ・テキーラサンライズのベース。最も知名度が高い定番テキーラ。コスパと使い勝手のバランスが良い。
パトロン シルバー
プレミアムブランコ
業態次第5,000〜7,000円テキーラをストレートで楽しむ客向け。プレミアムテキーラを求める層には必要だが、最初は不要。客のリクエストがあれば追加。

🍇ブランデー・コニャック

サイドカー・ブランデーハイボールに。大人の客層に刺さる

1本は必要

銘柄・タイプ優先度目安価格解説・選び方のポイント
レミーマルタン VSOP
コニャック
絶対必要4,500〜6,500円サイドカー・ブランデーサワーのベース。ストレートでも提供できる品質。コニャックの定番として外せない1本。
カルヴァドス
アップルブランデー
業態次第3,500〜6,000円個性的なカクテルを作りたい・差別化を狙うなら面白い選択。最初は不要。

ボトルの種類より「1本あたりの深さ」で勝負するのが、小規模BARの正解。

ウイスキーの選び方(特別解説)

ウイスキーはBARにとって最も重要なカテゴリです。特にオーセンティックBARやウイスキーに力を入れる業態では、ウイスキーの品揃えが店の個性を決めます。

ウイスキーは産地によって5つに分類されます。開業時は全産地を網羅する必要はありません。自分のコンセプトに合った産地を「深く」揃える方が、客への印象が強くなります。

産地特徴代表銘柄(入手しやすいもの)開業時の優先度
スコッチブレンデッドとシングルモルトに分かれる。幅広いスタイルが揃う。バランタイン・グレンリベット・グレンフィディック・マッカラン最優先
ジャパニーズ繊細で上品なスタイル。外国人客への訴求力が高い。山崎・白州・竹鶴・知多・富士最優先
アメリカンバーボン・テネシーが中心。甘みとバニラ香が特徴。ジャックダニエル・ワイルドターキー・メーカーズマーク優先
アイリッシュマイルドで飲みやすい。アイリッシュコーヒーに使う。ジェムソン・ブッシュミルズ後から
カナディアン軽くてクセが少ない。カクテル向き。カナディアンクラブ・クラウンローヤル後から

リキュール・補助酒類

カクテルを作るためのリキュール(副材料)も必要です。ただし全種類を揃える必要はありません。代表的なカクテルをカバーできる最小セットから始めてください。

リキュール名優先度目安価格主な使い道
コアントロー
(トリプルセック)
絶対必要3,000〜4,500円マルガリータ・サイドカー・コスモポリタンなど。オレンジ系リキュールはカクテルの万能選手。
カルーア
(コーヒーリキュール)
絶対必要2,000〜3,000円カルーアミルク・エスプレッソマティーニ。女性客からのリクエストが多い定番。
クレームドカシス絶対必要2,000〜3,000円キールロワイヤル・カシスオレンジ・カシスソーダなど。女性客・カクテル初心者に最も人気のリキュール。
ディサローノ
(アマレット)
あると便利2,500〜3,500円アマレットサワー・ゴッドファーザー。アーモンド風味で甘さが特徴。カクテルの幅が広がる。
クレームドペッシュ
(ピーチリキュール)
あると便利2,000〜3,000円ベリーニ・ファジーネーブル。桃系カクテルは女性客に人気。
グリーンペパーミントあると便利2,000〜3,000円グラスホッパー・スティンガー。ミント系カクテルに必須。色が映えるため視覚的な演出にも。
ベイリーズ
(アイリッシュクリーム)
業態次第2,500〜3,500円ベイリーズオンザロック・アイリッシュコーヒー。甘めのカクテルが好きな客に人気。

ミキサー・ノンアルコール類

お酒と同じくらい重要なのが、カクテルを割るためのミキサー類です。これが切れると提供できないカクテルが出てきます。

開業時に必ず揃えるミキサー類

  • トニックウォーター:ジントニック・ウォッカトニックに必須。缶か瓶で常に複数本ストック。
  • ソーダ(炭酸水):ハイボール・スピリッツソーダ全般に使用。使用頻度が最も高いミキサー。
  • コーラ:ジャックコーク・ラムコークなどに。コカ・コーラが基本。
  • ジンジャービア(強め生姜炭酸):モスコミュールに必須。ジンジャーエールとは別物なので注意。
  • オレンジジュース・グレープフルーツジュース:スクリュードライバー・テキーラサンライズなどに。100%果汁を選ぶ。
  • レモンジュース・ライムジュース:ほぼ全てのサワー系カクテルに使用。生搾りが理想だが瓶入りでも可。
  • グレナデンシロップ:テキーラサンライズ・シンデレラなどの色付けに使用。
  • アンゴスチュラビターズ:マンハッタン・オールドファッションドに少量使う。1本で長く使える。

業態別・最初の仕入れシミュレーション

ミニマム構成

スタンディングBAR・一人営業

  • ウイスキー3〜4本
  • ジン・ウォッカ・ラム・テキーラ・ブランデー各1本
  • リキュール3〜4種
  • ミキサー類6〜7種

合計ボトル数約20〜25本

初期仕入れ費用15〜25万円

標準構成(推奨)

オーセンティックBAR・カウンター中心

  • ウイスキー8〜12本
  • ジン・ウォッカ・ラム・テキーラ・ブランデー各1〜2本
  • リキュール6〜8種
  • ミキサー類8〜10種

合計ボトル数約30〜40本

初期仕入れ費用25〜45万円

ウイスキー特化型

ウイスキーBAR・シガーバーなど

  • ウイスキー(産地・年代別)20〜40本
  • その他スピリッツ各1本
  • リキュール5〜6種
  • ミキサー類6〜8種

合計ボトル数約35〜60本

初期仕入れ費用40〜80万円

1本のボトルで作れるカクテルを増やす考え方

仕入れ予算を抑えながらメニューの幅を広げるために重要なのが「1本のボトルで何種類のカクテルが作れるか」という視点です。

「6×6の法則」で考える

ベーススピリッツ6種 × 主要ミキサー6種の組み合わせで、理論上30種類以上のカクテルをカバーできます。最初は「何本揃えるか」より「何種類のカクテルが出せるか」で考えると、無駄な仕入れを防げます。

仕入れ先と買い方のコツ

開業時の仕入れ先の選び方

  • 酒類卸業者と取引を開始する:業務用価格で仕入れられる。「業務用酒類卸 ○○(地域名)」で検索して複数社に問い合わせる。開業前から取引口座を作っておくと便利。
  • 業務用スーパー・リカーショップを活用:卸業者との取引が始まるまでの間、業務用スーパー(コストコ・業務スーパー)での仕入れも有効。
  • ネット通販を上手に使う:品薄ウイスキー・クラフトスピリッツはネット通販の方が入手しやすい場合がある。定価販売のサイトを優先する。
  • 最初は少量から試す:新しいボトルを大量に仕入れる前に、まず1本だけ入れて客の反応を見る。売れなければ在庫が詰まる。
ジャパニーズウイスキーの入手困難問題

山崎・白州・響などの人気ジャパニーズウイスキーは、現在も入手が難しい状況が続いています。定価の2〜3倍で転売されているケースも多い。酒類卸業者と良好な関係を築いて「定期的に少量を確保する」ことが現実的な対策です。開業前から卸業者との関係を作っておくことが重要な理由のひとつです。

最初の仕入れは「少なく深く」。客の声を聞きながら少しずつ増やす。

この記事のまとめ

  1. 開業時の仕入れは「20〜40本」から始める。全種類を揃えようとしない。
  2. ベーススピリッツ6種(ウイスキー・ジン・ウォッカ・ラム・テキーラ・ブランデー)が基本の柱。
  3. ウイスキーはスコッチとジャパニーズを最優先。コンセプトに合わせて深く揃える。
  4. リキュールはコアントロー・カルーア・カシスの3本が最優先。あとは客の反応で追加。
  5. ミキサー類(ソーダ・トニック・コーラ・ジュース類)はお酒と同じくらい重要。切らさない。
  6. 仕入れは酒類卸業者との取引を開業前から始めておく。ジャパニーズは早めに確保ルートを作る。
  7. 「何本揃えるか」より「何種類のカクテルが出せるか」で考える。1本の多用途化を意識する。

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