BARで利益を残す方法|売上より大切な考え方とは?

売上が上がっても、手元にお金が残らない・・・
これは多くのBAR経営者が直面する現実です。
売上は「入ってきたお金」であり、利益は「残ったお金」です。この2つは全く別物です。

この記事では、売上から利益を生み出す
経営構造・固定費の削減・資金繰りの管理・税金対策の基本まで、
「長く続くBAR経営」の核心を解説します。

「売上」と「利益」は全く別物

まず最も重要な原則を確認します。

BARの損益構造を正確に把握する

利益を残すためには、まず「どこにお金が出ていっているか」を正確に把握することが出発点です。BARのコストは大きく2種類に分かれます。

📊 変動費(売上に連動して変わる)

・食材・お酒の仕入れ費
・消耗品(コースター・ナプキン等)
・クレジット決済手数料
・ガーニッシュ・フルーツ
→ 売上が下がると自動的に下がる

🔒 固定費(売上に関係なく毎月出ていく)

・家賃
・光熱費(基本料)
・通信費・Wi-Fi
・保険料・定期購読費
・借入返済
→ 売上がゼロでも毎月必ず出ていく

固定費は「売上がゼロでも出ていくお金」

BARが1ヶ月休業しても、家賃・光熱費基本料・通信費は発生します。固定費が月30万円なら、売上ゼロでも毎月30万円が消えていきます。固定費を下げることが、経営安定の最も確実な方法のひとつです。

固定費を削減する5つの方法

方法 01🏠
家賃交渉・物件の見直し
固定費の中で最大の支出は家賃です。
開業から1〜2年が経過して客足が安定したタイミングで、家主との家賃交渉を検討してください。
特に長期入居・信頼関係ができている場合は、交渉の余地があります。

家賃1万円の削減効果
家賃を月15万円→14万円に交渉成功した場合:
年間で12万円のコスト削減 = 利益が年12万円増える
これは月売上を1万円上げるのと同じ効果(しかも毎年続く)

交渉のタイミングと方法
契約更新時(2年ごと)が最も交渉しやすい。
「長くお世話になりたいので」という姿勢で切り出す。
近隣の相場を調べて「相場より高い」という根拠を持って話す。
一度断られても諦めずに次の更新時に再挑戦する。
方法 02💡
光熱費・通信費の見直し
固定費の中でも比較的見直しやすいのが光熱費と通信費です。
電力会社の切り替え・料金プランの見直しは、手続きするだけでコストが下がることがあります。

すぐできる見直し項目
・電力会社を比較サイトで見直す(年2〜5万円の削減実績が多い)
・使っていないサブスクリプション・定期購読を解約する
・営業時間外はエアコン・照明を完全オフにする習慣をつける
・LED照明への切り替え(初期費用はかかるが長期で元が取れる)
方法 03📱
「使っていないサービス」を棚卸しする
開業時に登録したサービス・ツールを、実際には使わないままサブスクリプション料金を払い続けているケースは多い。
年1回、全ての月額課金サービスをリストアップして、使用頻度の低いものを解約してください。

よく眠っているコスト
・予約管理ツール(使っていない)
・グルメサイトの有料プラン(効果が出ていない)
・使っていない音楽配信サービス
・開業時に入ったが使っていない業務ソフト
これらを洗い出すだけで月5,000〜3万円削減できることがある。
方法 04🏦
借入返済のリスケジュール(余裕がある今のうちに)
開業時に融資を受けた場合、毎月の返済額が固定費の大きな部分を占めることがあります。
経営が安定しているうちに、金融機関と返済スケジュールの見直しを相談することは、
決して恥ずかしいことではありません。

返済が苦しくなってからではなく、余裕があるうちに相談するのが重要です。
金融機関は「早めに相談してくれる経営者」を評価します。

リスケジュールの選択肢
・返済期間の延長(月々の返済額が下がる)
・据置期間の設定(元本返済を一時停止)
・金利の見直し交渉
これらは日本政策金融公庫・取引銀行に相談できます。
方法 05⏰
営業時間・営業日数を最適化する
「営業日数が多い=売上が多い」は必ずしも正しくありません。
客の少ない曜日・時間帯にも営業し続けると、光熱費・人件費・自分の体力が無駄に消耗します。
データを見て「儲からない時間帯」を思い切って閉める判断も経営者の仕事です。

営業日数見直しの効果
現状:週5日営業・うち火曜日の売上が月平均3万円・その日の固定費按分が2万円
→ 火曜休業にすると:売上▲3万円・固定費▲2万円・自分の体力温存
→ 実質的な損失は1万円だが、体力・集中力・他の日のサービス質が上がる可能性がある

変動費をコントロールする考え方

変動費(主に食材・仕入れ費)は売上に連動するため、コントロールしやすい費用です。ただし「削りすぎ」は品質低下につながります。

変動費の種類削減できる余地注意点判断
主要スピリッツの仕入れ仕入れ先の見直し・まとめ買い品質を落とすと客離れにつながる品質維持優先
ミキサー・ジュース類業務用スーパーで大量購入賞味期限・保管場所に注意積極的に削減
ガーニッシュ・フルーツ使い切り仕入れ・廃棄ゼロ見た目のクオリティに直結バランスで判断
消耗品(コースター等)まとめ買いで単価引き下げ安すぎると質感が落ちる積極的に削減
決済手数料(Square)現金比率を上げる選択肢もキャッシュレス対応は維持する現状維持推奨

利益を残す経営は「売上を追うこと」と「コストを管理すること」の両輪で成り立つ。

資金繰りの基本|手元現金を守る

利益が出ていても、手元の現金が不足すると経営は止まります。「黒字倒産」という言葉があるように、利益と現金は別物です。

資金繰りの3原則

  • 手元現金は月商の3ヶ月分を最低ラインに維持する。売上が一時的に落ちても、固定費を3ヶ月払い続けられる現金を持ち続けること。
  • 売上口座と生活費口座を分ける。BAR専用の銀行口座を作り、売上入金・経費支払い・税金積立を全てそこで管理する。生活費は別口座へ「給与」として月定額を移す。
  • 税金のための積み立てを毎月行う。年に1〜2回まとめてやってくる税金(消費税・所得税・住民税)に備えて、毎月売上の10〜15%を別口座に積み立てておく。
「今月残ったお金は全部使っていい」は大間違い

月末に手元に残った金額が「利益」ですが、そこから税金・修繕費の積み立て・借入返済・次の設備投資の資金を差し引いた金額だけが「実際に自分が使えるお金」です。手元の現金を全部使い切ってしまうと、突然の出費(設備故障・税金)に対応できなくなります。

税金対策の基本知識

BARの経営者として知っておくべき税金の基本を整理します。「税金は難しい」と放置すると、後から大きなダメージになります。

📋
所得税・住民税

個人事業主(開業届を出している場合)は
毎年3月に確定申告が必要。
売上から経費を引いた
「所得」に対して課税される。
青色申告で最大65万円控除
🧾
消費税

開業から2年間は免税事業者に
なれることが多い(売上1,000万円未満)。
3年目以降は課税事業者になる可能性があるため、事前に確認が必要。
2年目までに準備する
💰
経費として計上できるもの

仕入れ費・家賃・光熱費・通信費
・広告費(Instagram広告等)
・交通費・研修費・書籍費
これらは正しく経費計上することで
税負担が下がる。
漏れなく計上する
📚
青色申告のすすめ

白色申告より手間はかかるが、
最大65万円の特別控除が受けられる
青色申告は節税効果が大きい。
開業届と同時に
「青色申告承認申請書」を提出する。
開業時に必ず申請
税理士・FPへの相談は早めが得

「売上が安定したら税理士に頼もう」と思っている人が多いですが、開業初年度から適切な経費計上・節税の仕組みを作っておく方が、長期的には大きな差になります。税金で余計に払ったお金は戻ってきません。

季節変動と利益の平準化

BARには売上が高い月と低い月があります。この変動を把握して、低い月に備えることが長期経営の鍵です。

季節変動への対処法

  • 売上が高い月(秋・冬)に積極的に積み立てる。来年の低い月に備えた「バッファ」を作る。
  • 売上が低い月には固定費を見直す機会にする。暇な時期こそ経営改善に時間を使う。
  • 夏向けの集客策を事前に仕込む。夏限定カクテル・テーマナイト・屋外イベントとの連携など。
  • 年間の売上・利益を月次でグラフ化する。2年分溜まると傾向が見えて、先手の対策が打てるようになる。

利益を残すための月次チェックリスト

📊 毎月確認すること

  • 月間売上・延べ来店数・客単価を記録したか
  • 当月の原価率(仕入れ費÷売上×100)を計算したか
  • 固定費合計を集計したか(家賃・光熱費・通信費等)
  • 営業利益(売上-原価-固定費)を算出したか
  • 税金積立口座へ売上の10〜15%を移したか
  • 手元現金が月商の3ヶ月分以上あるか確認したか

📅 3ヶ月に1回やること

  • 全メニューの原価率を再計算し、価格見直しが必要か確認する
  • 使っていないサブスクリプション・サービスを棚卸しする
  • 3ヶ月の売上トレンドを見て、上がっているか下がっているか確認する

📆 年1回やること

  • 確定申告の準備(青色申告の場合は帳簿の整備)
  • 家賃交渉・契約更新時の条件確認
  • 設備の老朽化確認・修繕費の積み立て状況を確認
  • 次年度の目標設定(売上・客数・客単価・利益)

一人で続けていく経営に、孤独はつきものです。でも、正しい知識と習慣があれば道は開けます。

この記事のまとめ

  1. 「売上」と「利益」は全く別物。売上80万円でも、固定費・変動費を引くと手残りは15〜20万円になることが多い。
  2. 固定費は「売上ゼロでも出ていくお金」。削減できるものから順番に見直す。まず使っていないサービスの棚卸しから。
  3. 手元現金は月商の3ヶ月分を最低ライン。突然の出費・閑散期に備えた「バッファ」を常に持つ。
  4. 税金積立は毎月売上の10〜15%を別口座へ。税金は年に数回まとめてやってくる。備えがないと致命傷になる。
  5. 青色申告を申請することで最大65万円の特別控除。開業届と同時に提出するのが大原則。
  6. 季節変動を把握して、売上の高い秋冬に積み立て、低い夏に備える。年間の計画が経営を安定させる。
  7. 月次・四半期・年次の経営チェックを習慣化する。「記録する習慣」だけで、経営の精度は格段に上がる。

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