
「デザイン重視でカウンターを決めたら、動きにくくて仕込みが遅れる」
内装が完成してから気づいても、もう手遅れです。
カウンターはBARの顔であると同時に、バーテンダーの作業場でもあります。
見た目と機能性、両方を満たす設計をしないと、開業後ずっと苦労することになります。
この記事では、カウンター設計で失敗しないための寸法・動線・素材の考え方を解説します。
カウンター設計は「見た目」より先に「動線」を決める
おしゃれなカウンターほど、動きにくいことがある
デザイン先行で決めたカウンターは、いざ営業を始めると
「シェイカーを振るスペースがない」「グラスを取るのに一歩下がる必要がある」
といった問題が起きがちです。まず動線を決め、そのあとにデザインを乗せる順番が鉄則です。
基本寸法の目安
| 部位 | 標準的な目安寸法 |
|---|---|
| カウンター高さ | 100〜110cm(スタンディングでも作業しやすい高さ) |
| カウンター天板の奥行き | 40〜45cm(お客様側) |
| バーテンダー作業スペースの奥行き | 60〜70cm以上 |
| 客席1人あたりの横幅 | 50〜60cm |
| チェア座面の高さ | 65〜75cm(カウンター高さとの差は30〜40cm程度が目安) |
カウンター高さと椅子の高さの「差」が座り心地を決める
高さだけを単体で決めるのではなく、
実際に使うハイチェアとセットで座高バランスを確認すること。
ショールームで座って試すか、モックアップで検証するのが理想です。
バーテンダーの作業動線を設計する
⚠️ 作業効率を左右する配置の基本
- 冷蔵庫・アイスビン・シンクは、なるべく一直線または近距離でつながる配置にする
- グラス類の収納は、提供する場所からできるだけ近い位置に置く
- シェイカーを振るスペースは、最低でも肩幅+余裕(70cm程度)を確保する
- お客様との会話をしながら作業できるよう、正面を向いたまま手が届く範囲に主要な道具を配置する
「1歩も動かずに8割の作業が完結する」のが理想の動線
忙しい時間帯にバーテンダーが後ろを向いたり、
左右に何度も移動したりする設計は、提供スピードと接客の質を落とします。
実際の仕込み・提供の一連の流れをシミュレーションしてから配置を決めてください。
お客様側の座り心地を左右する寸法
- 膝が入るスペース(カウンター下の奥行き)を最低20cm程度確保する
- 隣の席との間隔が近すぎると圧迫感が出るため、横幅50cm以上を目安にする
- カウンターのエッジ(角)は、丸みを持たせると長時間の肘置きでも疲れにくい
- 足置き用のフットレストがあると、長時間滞在時の快適性が上がる
カウンター席は「密着感」と「圧迫感」の境界線が難しい
BARらしい親密な距離感を演出しつつ、
窮屈さを感じさせない絶妙なバランスが求められます。
実際に人が座った状態で間隔を確認するのがおすすめです。
素材選びのポイント
| 素材 | メリット | 注意点 |
| 無垢材 | 高級感があり経年変化を楽しめる | 水や熱に弱く、メンテナンスの手間がかかる |
| タイル・石材 | 耐水性・耐熱性が高く清掃しやすい | 硬く、グラスを置く音が響きやすい |
| ステンレス | 衛生的で耐久性が高い | 業務感が出やすく、雰囲気作りには工夫が必要 |
| 人工大理石 | 木や石の質感を再現しつつメンテナンス性が高い | 高温のもの・強い衝撃には弱い場合がある |
天板は「濡れる」「熱いものが置かれる」前提で選ぶ
見た目だけで天板素材を決めると、
シミ・傷・変色が早期に出て店の印象を損ねることがあります。
ドリンクを扱う以上、耐水性は最優先の条件です。
よくある設計ミス
❌ 開業後に後悔しやすいポイント
- カウンター内の収納が足りず、営業中に在庫を取りに何度も奥へ戻る動線になっている
- コンセントの位置を考慮せず、POSレジや製氷機の配線が露出してしまう
- 照明の位置がバーテンダーの手元に影を作り、作業しづらい
- 排水・給水の配管ルートを後から追加し、想定外の工事費がかかる
- 席数を優先しすぎて、バーテンダーの作業スペースが窮屈になる
設計時にチェックすべきリスト
- 実際の作業動線を紙や図面上でシミュレーションしたか
- カウンター内の収納量は、仕込み量・在庫量に対して十分か
- 手元照明とお客様から見える照明のバランスは取れているか
- 天板素材は水・熱・衝撃への耐性を考慮して選んだか
- 椅子とカウンターの高さバランスを実物で確認したか
- コンセント・配管の位置を工事前に確定させたか
この記事のまとめ
- カウンター設計はデザインより先に「バーテンダーの作業動線」を決めるべき。
- カウンター高さ100〜110cm、作業スペース奥行き60〜70cm以上が基本の目安。
- 冷蔵庫・アイスビン・シンク・グラス収納は近距離でつながる配置にすると効率が上がる。
- お客様側は膝スペース・席幅・エッジの丸みなど、座り心地に関わる寸法を丁寧に検討する。
- 天板素材は見た目だけでなく耐水性・耐熱性を最優先で選ぶ。
- 開業後の後悔を防ぐため、動線・収納・照明・配線は工事前に必ずシミュレーションする。
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