BAR開業までのスケジュール完全ガイド|何から始めればいい?

「BARを開きたい」という気持ちはある。でも何をいつやればいいのか、全体像がつかめない。
そのまま動き出すと、直前になって「あれが終わっていない」「この申請が間に合わない」という状態になります。

この記事では、BAR開業のスケジュールを「0〜12ヶ月」の時系列で完全整理します。
このガイド1枚を手元に置いておけば、準備の抜け漏れがなくなります。

開業スケジュールの全体像

BAR開業にかかる期間は、業態・規模・準備の進み具合によって異なりますが、最短で6ヶ月、標準的には8〜12ヶ月が現実的な目安です。

「思ったより時間がかかった」は開業者の共通の声

物件探しに3ヶ月かかった、許認可の申請に予想以上の時間がかかった、内装工事が遅延した——これらはよくあることです。スケジュールには必ず「バッファ(余裕)」を1〜2ヶ月は持たせてください。ギリギリのスケジュールで動くと、ひとつの遅れが全体を崩します。

フェーズ1:コンセプト・資金計画(0〜2ヶ月目)

Phase 1 設計フェーズ

0〜2ヶ月目|全ての土台を作る最重要期間

🎯コンセプト・業態・ターゲットを言語化する
「誰に・何を・なぜ自分が」を一言で言える状態にする。
ここが全ての判断軸になる。曖昧なまま次に進まない。
最優先・最重要
🔍競合BAR10軒以上のリサーチ・実際に足を運ぶ
価格帯・客層・メニュー・内装・接客を体感する。
「自分のBARとどう差別化するか」を考える。
必須
💴自己資金の確認・融資計画の立案
手元の自己資金を正確に把握する。
日本政策金融公庫への融資申請を検討する場合は、事業計画書の準備を開始。
必須
📋食品衛生責任者の講習を受ける
1日で取得できる。飲食店営業許可に必要。
早めに受けておくと後が楽になる。
1日で完了
📱InstagramアカウントとLINE公式を作成・発信開始
開業2〜3ヶ月前からSNS発信を始めることで、
オープン初日から認知された状態でスタートできる。
早めが有利

フェーズ1は「何もまだ決まっていない」段階。だからこそ、ここで正しく設計することが全てを決める。

フェーズ2:物件探し・契約(2〜4ヶ月目)

Phase 2 物件フェーズ

2〜4ヶ月目|最も時間がかかりやすい期間

📐家賃上限・希望坪数・エリアを数字で決める
月売上目標の10〜15%以内が家賃の目安。
この数字が決まってから物件を探し始める。感覚で動かない。
物件探し前に必須
🏠飲食店専門の不動産会社・居抜き物件サイトで探す
複数社に同時に当たる。居抜き物件を優先して探す。
候補エリアを自分の足で歩いて「テナント募集」の貼り紙も確認する。
並行して複数動く
🔎内見・条件確認(昼と夜の両方)
用途地域・深夜営業可否・排水・換気・電気容量を確認。
夜間の人通りを実際に見に行く。
内見チェックリストを持参する。
両方の時間帯で確認
🏛️保健所・警察署への事前相談
物件を本格検討する前に、管轄の保健所(飲食店営業許可)と
警察署(深夜酒類提供営業)に事前相談する。
契約前に確認
✍️物件契約・内装業者への依頼開始
物件が決まったら即座に内装業者への相談・見積もり依頼を開始する。
工事開始までのタイムロスをなくす。
決まった瞬間に動く
物件探しは「2〜3ヶ月かかる」が普通

条件に合う物件がすぐ見つかることは稀です。10件内見して1件決まるかどうかというペースがよくあります。「早く開業したい」という焦りで条件の悪い物件を選ぶと、後で取り返しがつかなくなります。物件探しには十分な時間を確保してください。

フェーズ3:内装・設備・許認可(4〜6ヶ月目)

Phase 3 工事・申請フェーズ

4〜6ヶ月目|複数のタスクを並行して進める

🔨内装工事の開始・進捗管理
着工から完成まで通常2〜4週間。工事中は週1回以上現場確認。
「思っていたのと違う」は早めに指摘する。完成後に言っても遅い。
現場確認を欠かさない
📦設備・備品の発注・搬入
冷蔵庫・製氷機・シンク・グラス・バーツールなどを発注。
納期を確認して、工事完成のタイミングに合わせて搬入できるよう調整する。
納期逆算で発注
🏥保健所への飲食店営業許可申請
内装工事完成後、保健所に申請・立入検査を受ける。許可が下りるまで1〜2週間かかる。
工事完成のタイミングで即申請できるよう書類を事前準備する。
工事完成後すぐ申請
🚔深夜酒類提供飲食店営業開始届の提出
深夜0時以降に酒類を提供する場合、管轄警察署への届出が必要。
営業開始の10日前までに提出する。書類は事前に準備しておく。
開業10日前までに
📝開業届・青色申告承認申請書の提出
税務署への開業届は開業日から1ヶ月以内が目安。
青色申告を希望する場合は、開業届と同時に「青色申告承認申請書」を提出する。
開業と同時に提出

工事フェーズは許認可申請と並行して進める。どちらかを後回しにするとオープンが遅れる。

フェーズ4:仕込み・集客準備(5〜6ヶ月目)

Phase 4 仕込みフェーズ

工事と並行して進める・怠ると初日が閑古鳥になる

🥃酒類卸業者との取引開始・初回仕入れ
開業前に酒類卸業者との口座開設を済ませておく。
初回仕入れはオープン1〜2週間前が目安。仕入れすぎに注意。
卸業者は早めに開拓
📋メニュー表の最終確認・印刷
価格設定・原価率を確認した最終版のメニューを作成。
印刷はオープン1週間前に届くよう発注する。
オープン1週間前まで
🗺️Googleビジネスプロフィールの本登録・写真アップ
内装が完成したら即座に登録。店内写真・外観・カクテル写真を10枚以上アップロード。
住所・営業時間・電話番号を正確に入力。
内装完成後すぐ
📣知人・友人へのオープン告知・SNSで発信
LINEで個別に告知。SNSで「もうすぐオープン」の投稿を増やす。
初日から人が来る状態を事前に仕込む。
オープン2週間前から
💳Square設定・テスト決済の完了
レジの設定・メニュー登録・カード決済のテストを完了させる。
オープン当日に初めて使うのは厳禁。
オープン1週間前まで
🍸カクテルのレシピ確認・オペレーション練習
メニュー全品を実際に作って味・スピード・仕上がりを確認する。
一人で全席に対応できるか動線とオペレーションを練習する。
繰り返し練習

フェーズ5:プレオープン・グランドオープン

Phase 5 オープンフェーズ

プレオープンを必ず挟む・本番前の最終調整

🎪プレオープン(知人・関係者向け)
グランドオープンの1〜2日前に、知人・関係者だけを招いてプレオープンを行う。
オペレーションの問題点・メニューの仕上がり・設備の動作を本番前に確認する。
必ず実施する
🎉グランドオープン
SNSでオープン当日の投稿。初日は「完璧にこなす」より「丁寧に接客する」を優先する。
数字は翌日から記録を始める。
ここがゴールではなく出発点
📊開業後1ヶ月:数字の記録・改善サイクルを始める
売上・来店数・客単価・原価率を毎日・毎週・毎月記録する。
「感覚で動く経営」から「数字で動く経営」への切り替えをオープン初日から始める。
初日から記録開始

ガントチャート:タスクの重なりを把握する

複数のタスクは並行して進む部分があります。全体の流れを把握しておいてください。

SNS発信だけは1ヶ月目から並行して始める

上の図でもわかるように、SNS・集客の仕込みは1ヶ月目から開始して徐々に強度を上げていきます。内装工事が始まってから発信を始めるのでは遅い。「準備している様子」そのものがコンテンツになります。

スケジュールが崩れやすい「落とし穴」

落とし穴 01
物件が見つからずスケジュールが後倒しになる

物件探しは最もスケジュールが読めないフェーズです。
「3ヶ月で見つかるだろう」という見込みが外れることはよくあります。
物件探しには余裕を持って4〜5ヶ月を見ておく。
見つからない期間は、コンセプト深化・資金の積み上げ・SNS発信に充てる。
落とし穴 02
内装工事が遅延してオープン日がずれる

材料の入荷遅延・職人のスケジュール変更・追加工事の発生・工事の遅延は珍しくありません。
オープン日を先に公表してしまうと、遅延時に告知変更の対応が必要になります。
工事完了を確認してからオープン日を正式に告知するのが安全です。
落とし穴 03
許認可申請が間に合わない

保健所の立入検査・警察署への届出は、申請から許可・受理まで日数がかかります。
「内装が完成してから考えよう」では遅い。
工事着工と同時に書類準備を開始し、完成直後に申請できる状態にしておく。
落とし穴 04
設備の納期が間に合わない

製氷機・業務用冷蔵庫は人気品番が品薄になることがある。
オープン2〜3週間前に発注しても届かない事態が起きます。
設備の発注は工事開始と同時、または直前に行う。納期の確認を必ず行う。
落とし穴 05
融資の審査・実行が遅れる

日本政策金融公庫への融資申請から実行まで、通常1〜2ヶ月かかります。
物件契約のタイミングで資金が手元にない状態になると、契約できない事態が起きます。
融資申請は物件探しと並行して進める。

開業前の最終チェックリスト

🔴 許認可・届出(これがないと開業できない)

  • 食品衛生責任者の修了証を取得済みか
  • 飲食店営業許可が下りているか
  • 深夜酒類提供飲食店営業開始届を提出済みか(深夜営業の場合)
  • 税務署への開業届を提出済みか
  • 青色申告承認申請書を提出済みか

🔵 設備・オペレーション

  • 製氷機・冷蔵庫の動作確認をしたか
  • Squareのテスト決済が完了しているか
  • 全メニューを一度作って品質確認したか
  • プレオープンを実施したか

🟢 集客・デジタル

  • Googleビジネスプロフィールに写真10枚以上アップしたか
  • Instagramのプロフィール・住所・営業時間を入力済みか
  • 知人へのオープン告知LINEを送ったか
  • ショップカードを用意したか
チェックリストを「印刷して壁に貼る」使い方をすすめます

開業準備は「頭の中だけで管理」すると必ず抜け漏れが出ます。このチェックリストをA4で印刷して、壁に貼って毎日見る習慣をつけてください。
完了したものにチェックを入れると「残りタスク」が一目でわかります。チェックが全て埋まった状態でオープンを迎えてください。

この記事のまとめ

  1. BAR開業は「最短6ヶ月・標準8〜12ヶ月」。スケジュールには必ず1〜2ヶ月のバッファを持たせる。
  2. フェーズ1(設計)はコンセプト・資金計画・食品衛生責任者取得・SNS開始が主なタスク。
  3. 物件探しは最もスケジュールが読めない。4〜5ヶ月を見ておき、早めに複数ルートで並行して探す。
  4. 許認可申請は「工事完成後すぐ」に動けるよう、書類を事前に準備しておく。
  5. SNS発信は1ヶ月目からスタート。工事中の様子がコンテンツになる。
  6. プレオープンは必ず実施する。本番前にオペレーションの問題点を発見する唯一の機会。
  7. 開業前の最終チェックリストで抜け漏れをゼロにしてからオープンを迎える。

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