BARのグラスの種類と揃え方|最初に必要な本数と選び方

「グラスは何種類揃えればいいのか」「何個あれば足りるのか」
開業準備でグラス選びに迷う人は多い。
種類が多すぎて全部揃えようとすると予算オーバーになり、
少なすぎると提供できないメニューが出てくる。

この記事では、BARに必要なグラスの種類・用途・揃えるべき数を、
現場目線でシンプルに解説します。グラス選びで迷わなくなります。

グラス選びの基本的な考え方

最初に結論を言います。開業時に揃えるべきグラスは「5種類」で十分です。それ以外は、メニューが固まってきてから追加すればいい。

グラスを揃えるときの考え方は2つだけです。

グラス選びの2つの基準

  • 使用頻度:毎日使うグラスは多めに、たまにしか使わないグラスは少なめに
  • 割れる前提:実際に使う数の1.5〜2倍を揃える。グラスは必ず割れる

また、グラスは「全て同じシリーズで揃える」ことを強くすすめます。割れたときに同じものを補充できるからです。バラバラのシリーズで揃えると、割れるたびに探して注文する手間がかかります。

開業時に全種類揃えようとしない

「BARらしく見せたくて、開業前に10種類以上のグラスを揃えた。でも実際に使ったのは4種類だけだった」という話はよくあります。グラスは場所をとるうえに割れます。最初は最低限から始めて、メニューに合わせて足していく方が確実です。

必ず揃えるべきグラス5種(図解付き)

5種類を詳しく解説

オールドファッショングラス(ロックグラス)
Old Fashioned Glass / Rocks Glass
絶対必要 最多使用
BARで最もよく使うグラスです。
ウイスキーのロック・水割り・ハーフロック、
またはネグローニやオールドファッションドなどのショートカクテルにも使います。
どんなBARでも必ず使う、まず最初に揃えるべきグラスです。

容量の目安
180〜300ml

揃える数(10席想定)
15〜20個

1個あたりの価格
300〜2,000円

現場からのポイント
厚手のもの(ヘビーボトム)は見た目の高級感が出るうえ、割れにくい。ウイスキーを主体にするBARなら、ヘビーボトムタイプを選ぶと「本格感」が伝わります。
ハイボールグラス(コリンズグラス)
Highball Glass / Collins Glass
絶対必要 ロングカクテル全般
ウイスキーハイボール・ジントニック・モスコミュール・テキーラサンライズなど、
炭酸を使うロングカクテル全般に使います。
BARメニューの中でロングカクテルは注文頻度が高いため、使用本数も多くなります。
多めに揃えておくのが正解です。

容量の目安
300〜400ml

揃える数(10席想定)
20〜24個

1個あたりの価格
300〜1,500円

現場からのポイント
ハイボールグラスはコリンズグラス(やや背が高い・細身)と区別されることもありますが、開業当初はどちらか1種類に統一する方が管理が楽です。
カクテルグラス(マティーニグラス)
Cocktail Glass / Martini Glass
絶対必要 ショートカクテル専用
マティーニ・マンハッタン・サイドカー・ダイキリなど、
ショートカクテル(氷なしで提供する小さいカクテル)に使うグラスです。
逆三角形のシルエットがBARらしさの象徴でもあります。

繊細な形なので割れやすいグラスのひとつです。
取り扱いに注意しながら、予備をしっかり確保してください。

容量の目安
90〜140ml

揃える数(10席想定)
12〜16個

1個あたりの価格
400〜2,500円

現場からのポイント
ステム(脚)が長いほど見た目は美しいが、その分折れやすい。
バーテンダーとしての技術が上がるにつれて扱い方も慣れてくるので、
最初は比較的ステムが短くて安定したタイプから始めるのも手です。
ショットグラス
Shot Glass
絶対必要 ストレート提供に
ウイスキー・テキーラ・ウォッカなどをストレートで提供するときに使います。
また、カクテルの試飲提供・チェイサー(水)の提供にも活用できます。
小さいですが用途が広く、数本手元に揃えておくだけで十分役立ちます。

容量の目安
30〜60ml

揃える数
8〜12個

1個あたりの価格
200〜800円

現場からのポイント
ウイスキーの試し飲み提供・サービスショットなど、接客の幅が広がるアイテムです。安価なので多めに揃えておいて損はありません。
タンブラー
Tumbler
絶対必要 汎用性最高
ストレートからカクテル・ソフトドリンクまで幅広く使える万能グラスです。
ロックグラスより少し大きめで高さがある形状です。
チェイサー(水)の提供・ソフトドリンク提供にも使えるため、
1本あたりの使用回数が最も多くなりやすいグラスのひとつです。

容量の目安
250〜350ml

揃える数(10席想定)
15〜20個

1個あたりの価格
300〜1,200円

現場からのポイント
ロックグラスとタンブラーは用途が重なる部分もあります。
どちらか一方を多めに揃えて使い分ける方法もあり。
自分のメニュー構成と相談しながら決めてください。

グラスは「使う種類を絞って、必要な数を確保する」が鉄則。

業態によって追加するグラス

上記5種類に加えて、業態に合わせて揃えるグラスを紹介します。

グラスの種類主な用途必要な業態目安数量
シャンパングラス(フルート型)スパークリングワイン・シャンパンカクテル・ベリーニなどスパークリング・ワインを扱うBAR6〜10個
ワイングラス(赤・白)ワインの提供・ワインベースのカクテルワインを扱うBAR・ダイニングBAR各6〜10個
ゴブレット(大型カップ型)フローズンカクテル・ビールカクテル・フルーツカクテルフローズン系メニューを提供するBAR6〜8個
アイリッシュコーヒーグラスアイリッシュコーヒー・ホットカクテル全般ホットカクテルをメニューに入れる場合4〜6個
カッパーマグ(銅製)モスコミュール専用モスコミュールを売りにするBAR4〜8個
ピルスナーグラスクラフトビール・ビールカクテルビールを扱う場合6〜8個
追加グラスは「メニューが決まってから買う」

シャンパングラス・ワイングラス・カッパーマグなどは、そのメニューを提供すると決めてから購入してください。「とりあえず揃えておこう」で買ったグラスが使われないまま棚を占領するケースはよくあります。メニューが先、グラスが後です。

業態・席数別・揃えるべき数の早見表

小規模・一人営業

カウンター8席以下のBAR

  • ロックグラス12〜16個
  • ハイボールグラス14〜18個
  • カクテルグラス8〜12個
  • ショットグラス8〜10個
  • タンブラー10〜14個

合計目安52〜70個

標準規模(最多パターン)

カウンター8〜14席のBAR

  • ロックグラス18〜24個
  • ハイボールグラス20〜28個
  • カクテルグラス14〜18個
  • ショットグラス10〜12個
  • タンブラー14〜20個

合計目安76〜102個

大規模・テーブル席あり

カウンター+テーブル席・15席以上

  • ロックグラス24〜36個
  • ハイボールグラス28〜40個
  • カクテルグラス18〜24個
  • ショットグラス12〜16個
  • タンブラー18〜28個

合計目安100〜144個

「席数の1.5〜2倍」の根拠

満席時に全員が違う種類のグラスを使っているとき、洗い終わる前に次の客が来ることがあります。「割れた分の予備」「洗い中の分」「使用中の分」の3つが同時に存在するため、席数の1.5〜2倍が必要になります。特に一人営業では洗う時間が取りにくいため、多めに確保することを強くすすめます。

グラスを買うときの注意点

グラス購入で後悔しないための5つのポイント

  • 同じシリーズで揃える:割れたときに同じものを補充できる。廃盤になりにくいロングセラー商品を選ぶ。
  • 業務用食洗機に対応しているか確認:食洗機対応でないグラスを業務用洗浄機にかけると白く曇る・割れる原因になる。
  • 実際に手で持って確認する:ネットだけで選ばない。重さ・厚み・持ちやすさは手に持って初めてわかる。
  • 価格は「1個あたり」で考える:安すぎるグラスは薄くて割れやすく、結果として高くつくことがある。
  • まとめ買いで単価を下げる:業務用食器問屋・テンポスバスターズ・ネットの業務用仕入れサイトで箱買いするとコストを抑えられる。
ブランドグラスの扱いには注意

リーデル・ショット・ツヴィーゼルなどのブランドグラスは、品質は高いですが1個あたりの単価も高く、割れたときのダメージが大きい。開業当初は業務用の信頼性が高い国産グラス(松徳硝子・東洋佐々木ガラスなど)から始めて、特別なグラスは後から足していく方がリスクを抑えられます。

グラスの管理・保管のコツ

グラスは「揃えること」より「管理すること」が大事です。どれだけいいグラスを揃えても、管理が雑だと客の印象が悪くなります。

グラス管理の基本ルール

  • 使う前に必ずグラスを拭く:洗いたてでも水滴・水垢が残っていることがある。客に出す前に専用クロスで拭き上げる。
  • 逆さに保管しない(棚保管の場合):逆さ保管はグラスの口元に傷がつきやすい。専用のグラスラックで正立保管が理想。
  • 欠けたグラスはすぐ廃棄:わずかな欠けでも客を傷つける可能性がある。「もったいない」で使い続けるのは厳禁。
  • 月1回の棚卸しで在庫を確認:「気づいたら在庫が減っていた」を防ぐため、定期的に在庫数を確認して補充のタイミングを管理する。

グラスを丁寧に拭く所作は、接客の一部。客はよく見ている。

この記事のまとめ

  1. 開業時に揃えるべきグラスは「5種類」。ロックグラス・ハイボール・カクテル・ショット・タンブラー。
  2. 揃える数は「席数の1.5〜2倍」が基準。割れる・洗い中・使用中の3つが同時に存在するため。
  3. 追加グラス(シャンパン・ワイン・カッパーマグ等)はメニューが決まってから購入する。
  4. 同じシリーズで揃えて、割れたときに補充しやすくする。廃盤リスクの低いロングセラーを選ぶ。
  5. 欠けたグラスはすぐ廃棄。管理が雑なグラスは客への印象を大きく下げる。
  6. 使う前に必ず拭き上げる。この一手間がプロと素人の差になる。

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