BAR開業の自己資金はいくら必要?|開業資金の現実と目安を解説

「自己資金要件は撤廃されたから、貯金ゼロでも開業できますよね?」

制度上はその通りです。でも実務上はほぼ通りません。

2024年3月の制度改正で、日本政策金融公庫の自己資金要件は
正式に撤廃されました。しかし審査では今も自己資金の額が
重要な判断材料として見られています。

この記事では、BAR開業に必要な自己資金の目安と、
融資額から逆算する考え方を整理します。

自己資金要件は「撤廃」されたが油断は禁物

2024年3月、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」が廃止され、「新規開業・スタートアップ支援資金」に統合されました。この改正により、制度上の自己資金要件は撤廃されています。

「要件がない」と「なくても通る」は別の話

制度上はゼロでも申込み自体は可能です。
しかし実務上は、自己資金がまったくない、または極端に少ない場合、
融資審査で不利になる可能性があると案内されています。

⚠️ 自己資金が見られている理由

  • 「事業への本気度」を示す材料として評価される
  • 計画的に資金を準備できる人かどうかの判断材料になる
  • 自己資金が薄いと、希望額から減額されるリスクがある

自己資金の平均データ

日本政策金融公庫の調査によれば、開業時の資金調達額に占める自己資金の割合は平均22.9%、金額にして平均279万円というデータがあります。

目安の考え方内容
最低ライン開業総費用の1割程度
安心ライン開業総費用の3割程度
融資額との関係融資額は自己資金の3〜4倍程度が目安とされる
借入希望額1,000万円なら、自己資金250〜300万円が安心ライン

これは複数の専門家・支援機関が共通して挙げる目安です。
自己資金がこの水準に届かない場合、希望額の減額や
申込み時期を後ろ倒しにする判断も検討する必要があります。

BAR開業の総費用相場

小規模なBAR(5〜10坪程度、カウンター中心)の場合、開業総費用の目安は以下の通りです。

費用項目目安金額
物件取得費(保証金・敷金・礼金等)100〜200万円
内装工事費150〜400万円(居抜きかスケルトンかで大きく変動)
厨房設備・什器備品50〜150万円
開業前家賃(工事期間分)20〜60万円
広告・販促費10〜30万円
運転資金(3〜6カ月分)100〜300万円
総額目安約300〜800万円程度
居抜き物件かスケルトン物件かで総額は大きく変わる

BARの内装にこだわるほど費用は膨らみやすい業態です。
総額の目安に幅があるのはこのため。
自分の店の規模・立地・内装レベルで個別に見積もる必要があります。

融資額から自己資金を逆算する

  1. BAR開業に必要な総費用を項目ごとに見積もる
  2. 総費用のうち、自己資金でまかないたい割合(最低1割・理想3割)を決める
  3. 残りを融資でまかなう前提で、必要な融資希望額を算出する
  4. 融資希望額の1/3〜1/4程度を自己資金として準備する
  5. 準備期間(半年〜1年)を逆算し、毎月の貯蓄目標額を設定する
具体例:開業総費用500万円の場合

自己資金3割 = 150万円
残り350万円を融資でまかなう計画
→ 自己資金150万円に対し、融資希望額350万円は
  「自己資金の3倍弱」の範囲に収まり、現実的なライン

自己資金として認められるもの・認められないもの

✅ 認められやすいもの

  • 給与や事業からコツコツ積み立てた預貯金(通帳履歴で確認できるもの)
  • 退職金
  • 親族からの贈与(贈与契約書などの書面があるもの)
  • 既に支払い済みの開業準備費用(領収書で裏付けられるもの)

❌ 認められにくい・注意が必要なもの

  • 申込み直前に親族口座から振り込まれた資金(見せ金と判断されるリスク)
  • 出所を説明できないタンス預金
  • 返済義務のある親族借入・役員借入金
自己資金は「貯めてきた過程」まで見られる

直前にまとまった額が動いた通帳は、面談で使途や経緯を
細かく確認されることがあります。最低でも半年前から
計画的に積み立てた履歴を残しておくことが望ましいとされています。

自己資金を計画的に貯める方法

  • 開業予定日から逆算し、毎月の積立目標額を決めて自動振込にする
  • 生活費とは別口座で管理し、通帳の動きを分かりやすくしておく
  • 副業・アルバイト等の収入も、経緯が説明できる形で記録しておく
  • クレジットカードのポイント運用や投資による含み益は、自己資金として認められにくい点に注意

自己資金が少ない場合の選択肢

  • 申込み時期を6カ月〜1年後ろ倒しにし、積立期間を確保する
  • 認定支援機関(税理士・商工会議所など)の関与を受けた融資枠を検討する
  • 開業規模・借入希望額を圧縮し、段階的に事業を拡大する計画に切り替える
  • 自治体の制度融資(信用保証協会付き)も並行して検討する

この記事のまとめ

  1. 2024年3月の制度改正で自己資金要件は撤廃されたが、審査では今も重要な判断材料。
  2. 開業時の自己資金は平均で総費用の22.9%程度、金額にして平均279万円というデータがある。
  3. 小規模BARの開業総費用は目安として300〜800万円程度、内装のこだわり度で大きく変動する。
  4. 融資希望額は自己資金の3〜4倍程度が現実的なライン。自己資金3割が安心ラインとされる。
  5. 直前の見せ金は評価されにくい。半年以上前からの計画的な積立履歴が重要。
  6. 自己資金が不足する場合は、申込み時期の調整や借入額の圧縮など複数の選択肢がある。

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