
「結局、何の資格と届出が必要なのか」
BAR開業者が最も混乱しやすいのがこの部分です。
複数の窓口(保健所・警察署・税務署)に申請が必要で、しかもタイミングがそれぞれ違う。
この記事では、BAR開業に必要な資格・許可・届出を、種類・取得方法・タイミングまで完全に整理します。
目次
資格・届出の全体像
BAR開業に関わる資格・届出は、大きく分けて3つの窓口に分散しています。それぞれ管轄が異なるため、「全部まとめてどこかに出せばいい」というものではありません。

どれか1つでも漏れるとオープンが遅れる
「飲食店営業許可」が下りていなければ営業できません。「深夜酒類提供飲食店営業開始届」が間に合わなければ深夜営業ができません。それぞれ独立した手続きなので、並行して進める必要があります。
① 食品衛生責任者(資格)
必須資格 🎓食品衛生責任者 最優先で取得 1日で完結 飲食店を営業する全ての店舗に、店舗ごとに1名以上の配置が必須の資格です。 食中毒予防・衛生管理の基礎知識を学ぶ講習を受けることで取得できます。 ・取得方法 1日講習を受講 ・費用 1万円前後 ・主催 都道府県食品衛生協会 ・免除条件 調理師・栄養士資格保有者 取得のすすめ方 各都道府県の食品衛生協会のサイトから講習日程を確認し、早めに予約する。 講習は人気の日程からすぐ埋まることがあるため、開業準備の最初期に予約しておくのが安全。
② 飲食店営業許可(保健所)
必須許可
🏥飲食店営業許可
これがないと開業不可 内装完成後に申請
飲食物・お酒を提供するために必須の許可です。
管轄の保健所に申請し、店舗の立入検査を受けて発行されます。
BAR・スナック・居酒屋など、お酒と簡単な料理を提供する業態に必要な「飲食店営業許可」を取得します。
・申請先 管轄保健所
・費用 1.6〜2.5万円程度
・審査期間 申請後1〜2週間
・有効期間 5〜8年(自治体差)
申請の流れ
①内装工事の図面段階で保健所に事前相談 →
②工事完成後に申請書類を提出 →
③保健所の担当者が立入検査 →
④基準を満たしていれば許可証が発行される
事前相談を必ず行う
内装が完成してから「シンクの数が足りない」「グリストラップが基準外」と判明すると、追加工事が必要になり開業が遅れます。図面の段階で保健所に事前相談することを強くすすめます。
③ 深夜酒類提供飲食店営業開始届(警察署)
深夜営業の場合必須
🚔深夜酒類提供飲食店営業開始届
10日前までに提出 BARはほぼ必須
深夜0時以降にお酒を提供する場合に必要な届出です。BARの多くはこの届出が必要になります。
管轄の警察署生活安全課に届出を提出します。
「許可」ではなく「届出」のため、要件を満たしていれば基本的に受理されます。
・提出先 管轄警察署
・費用 無料
・提出期限 営業開始10日前まで
・要件 用途地域・照度・防音基準
用途地域によって提出不可の場合がある
住居専用地域など、深夜営業が禁止されている用途地域では、この届出自体が提出できません。
物件を契約する前に、必ず管轄警察署に事前相談してください。
④ 開業届・青色申告承認申請書(税務署)
税務関連必須
🏛️開業届・青色申告承認申請書
開業1ヶ月以内 節税効果あり
個人事業主としてBARを開業する場合、
税務署への「個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)」の提出が基本は必要です。
同時に「青色申告承認申請書」も提出すると、最大65万円の特別控除が受けられます。
・提出先 管轄税務署
・費用 無料
・提出期限 開業日から1ヶ月以内
・青色申告申請期限 開業日から2ヶ月以内
法人化する場合は別の手続きが必要
法人として開業する場合は、開業届の代わりに法人設立の登記・税務署への法人設立届出書の提出が必要になります。個人と法人で必要な手続きが異なるため、事前に方針を決めておく。
⑤ 酒類販売業免許(必要な場合のみ)
該当する場合のみ
🍾酒類販売業免許
販売する場合のみ必須
店内でお酒を「提供」する(グラスで提供する)だけなら、この免許は不要です。
しかし、ボトルをそのまま小売り販売する・持ち帰り用にお酒を販売する場合は、
税務署で「酒類小売業免許」の取得が必要になります。
ボトルキープと小売り販売は別物
ボトルキープ制度(店内で消費する前提でボトルを保管するサービス)は免許不要です。
一方、「ボトルを持ち帰ってもらう」「お土産として酒類を販売する」場合は
免許が必要になるため、混同しないよう注意してください。
⑥ 防火管理者(規模による)
規模による
🧯防火管理者
収容人数30人以上で必須
店舗の収容人数が30人以上になる場合、防火管理者の資格を持つ人を選任し、管轄の消防署に届出が必要です。
小規模なカウンターBAR(収容人数30人未満)では不要なことが多いですが、テーブル席を含む大型店舗では必要になることがあります。
収容人数の確認方法
収容人数は内装設計時に決まります。消防署または内装業者に、自分の店舗が防火管理者の選任対象かどうかを確認してください。

複数の窓口に書類を提出する必要がある。早めに動いて余裕を作る。
申請タイミングの全体スケジュール
1 開業準備の初期(コンセプト決定後すぐ)
食品衛生責任者の講習を予約・受講。物件契約前に保健所・警察署へ事前相談。
2 物件契約のタイミング
用途地域・深夜営業の可否を最終確認。内装業者と保健所の設備基準を相談しながら図面を作成。
3 内装工事完成直後
飲食店営業許可を保健所に申請。立入検査の日程を調整する(通常1〜2週間で許可証発行)。
4 営業開始10日前まで
深夜酒類提供飲食店営業開始届を警察署に提出。必要書類(図面・誓約書等)を事前に準備しておく。
5 開業日から1〜2ヶ月以内
税務署に開業届・青色申告承認申請書を提出。開業後でも構わないが、早めに済ませておく。
費用一覧と最終チェックリスト
| 項目 | 費用 | 窓口 |
|---|---|---|
| 食品衛生責任者講習 | 約1万円 | 食品衛生協会 |
| 飲食店営業許可申請 | 約1.6〜2.5万円 | 保健所 |
| 深夜酒類提供飲食店営業開始届 | 無料 | 警察署 |
| 開業届・青色申告承認申請書 | 無料 | 税務署 |
| 酒類小売業免許(必要な場合) | 3万円程度(免許税) | 税務署 |
| 行政書士に依頼する場合(任意) | 5〜15万円程度 | — |
🔴 開業前に必ず完了させること
🔵 開業後すぐにやること
🟢 該当する場合のみ
自分でやるか、行政書士に依頼するか
保健所・警察署への「事前相談」は無料で何度でもできる
申請する前に、わからないことがあれば何度でも保健所・警察署に電話・訪問して確認してください。担当者は親切に教えてくれることが多く、これが最も確実で早い情報収集方法です。一人で悩むより、まず聞いてみることをすすめます。
この記事のまとめ
- BAR開業の手続きは保健所・警察署・税務署の3窓口に分散している。それぞれ並行して進める。
- 食品衛生責任者は開業準備の最初期に取得する。1日講習で完結する。
- 飲食店営業許可は内装完成後すぐ申請。図面段階で保健所に事前相談しておくとスムーズ。
- 深夜酒類提供飲食店営業開始届は営業開始10日前までに警察署へ提出。用途地域の確認が前提。
- 開業届・青色申告承認申請書は税務署へ。青色申告は最大65万円の特別控除があるため必ず申請する。
- ボトルの持ち帰り販売をする場合は酒類小売業免許が別途必要。提供のみなら不要。
- 不明点は保健所・警察署に何度でも事前相談する。一人で判断せず、確認することが最短ルート。
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